ジャーナリスト Kei Nakajima

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特筆記事

2005年1月26日(水)
特筆記事
『失われた龍の系譜』
出演:
ジャッキー・チェン、チェン・ジーピン(ジャッキー・チェンの父)、
監督:メイベル・チャン
製作総指揮:アレックス・ロウ
★★★★★
特筆記事

内容:世界的スター、ジャッキー・チェンと両親のドキュメンタリー映画。ジャッキーの母親が不治の病に冒されたことを機に、父親がジャッキーに向かって両親の本当の過去を語っていく内容。映画には両親とジャッキー、そして存在を隠してきた中国に住む実の兄や姉たちの証言、昔の仲間らの話、国共内戦や日中戦争などの記録フィルムなどでつないでいく感動作。監督は「宋家の3姉妹」や「誰かがあなたを愛してる」で有名になった香港の女流監督、メイベル・チャン氏。総指揮は「七小福」で有名になったアレックス・ロウ氏。ともに香港大学時代の同級生という名コンビ。

感想:映画は冒頭から悲しげなメロディーで始まる。それまでのジャッキーの元気いっぱいの映画とはまるっきり違うので、おやっと驚く導入だ。世界のアクションスター、ジャッキー・チェンに向かってオーストラリアに住む父親が「家族の過去」を話すところから物語が始まる。広東語で話すジャッキーと、北京語で話す父親。お互いに違う言葉で話しているのに通じ合っているところが、いかにも大陸から渡ってきた父と香港生まれの息子らしい。こんなシーンは香港に住んだことのある人にとっては珍しくない光景だが、妙になつかしさを覚える。この映画には現実のシーンを証明するかのように記録フィルムが使われている。戦争や激動の現代中国史とジャッキー一族の歴史が重なってみえるように配慮したチャン監督はすばらしい。「宋家の3姉妹」などでも繊細な演技指導と場面展開に舌を巻いたが、丹念なつくり方がよくわかる。フィルムを見て感じるのは、1930年代、40年代に命からがら香港に逃げてきた人は多いが、ジャッキーの父とて、例外ではなかったということだろう、ということだ。ジャッキーの父がビクトリア・ピークにある高級マンションの前に立ち「むかし、ここにあったマンションで住み込みで働いていたんだ」という場面や、昔のご近所さんとの再会も古きよき香港を彷彿とさせる。映画の後半ではジャッキーと父の会話だけでなく、父が数十年ぶりに中国を訪ね息子たちに再会するシーンもある。文革で苦労し尽くした息子たちが暖かく父を迎え入れるシーンは感動だ。映画の最後には父が捨てたはずの本当の苗字、「房」の系譜を取り出して、一族で1枚の写真に収まる。しかし、それを否定するかのように、最後にジャッキー自身が語った「血は水より濃いとは思わない」というセリフが印象的。幼い頃から戯劇学校で他人と同じ釜の飯を食べてきたジャッキーの本音だろうと感じた。今回はドキュメンタリーだが、俳優による映画化も予定されているという。ぜひ見てみたいものだ。


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