ジャーナリスト Kei Nakajima

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特筆記事

2006年7月月31日(月)
特筆記事
『蟻の兵隊』
出演:
奥村和一 ほか
監督:
池谷薫、製作:権洋子(ドキュメンタリー、日本映画)
★★★
特筆記事

内容:第2次世界大戦後も大陸に残り、中国の内戦に巻き込まれた“日本軍山西省残留問題”に肉薄する日本人映画監督による中国のドキュメンタリー。文化大革命の際、紅衛兵だった若者が生んだ子どもと、元紅衛兵の現在の姿を描く『延安の娘』を撮った池谷薫監督が、歴史に取り残された約2600人もの日本兵たちの悲劇を描く。かつて中国に残留していた元日本兵の奥村和一さんが、再び中国を訪れ、当時を振り返りつつ戦争とは何かを問いかける。

感想:靖国神社を巡り日中関係が冷え切るなか、製作が進められてきた「蟻の兵隊」。前作「延安の娘」が非常に素晴らしかっただけに、池谷監督のこの作品はどうしても見たいと思っていた。「戦後も中国に残る日本兵」について、わずかの知識しかないまま鑑賞に臨んだ私もいけなかったのだが、わからない部分がいくつかあり、すっきりとしないままエンディングを迎えたのは、少し残念だった。私にとってわかりにくかったのは、(1)中国の「内戦」がどのようなものであるかについて、その歴史的部分の解説が少なかったこと。A国民党系軍閥や共産党の置かれていた状態についても@と関連して不明確だったこと(2)「初年兵」など、知らない言葉があり誤解しやすかったこと―などだ。陸軍、将兵、少尉、師団、などの軍隊用語も私にとって身近ではなく、自分の勉強不足もあって、最後まで主人公(奥村さん)の本当にいいたかったことが、わかりにくかった気がした。
しかし、奥村さんという逸材を探し出し、このドキュメンタリーを取ろうと決意した監督の努力と熱意はすばらしいと思った。奥村さんが弱った足腰を引きずりながら中国にいき、数々の資料を探したり、多くの中国人と面談したりする場面は見ごたえがあった。毎年8月になると戦争や戦後についてのテレビ番組や新聞の特集を目にするが、生きて戦争を見た人は年々この世からいなくなっている。奥村さんは現在80歳。貴重な肉声を残すことができたという点では非常によかったと思う。地味な内容であるため、制作費など大変な面もあるだろうが、こうしたドキュメンタリーや真実に基づくすばらしいドラマが今後も制作され続けていくことで、私たち日本人の「関心」が少しでも高まればよいと感じた。


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