ジャーナリスト Kei Nakajima

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2009年3月11日

『花の生涯〜梅蘭芳』
出演:レオン・ライ、チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、安藤政信ほか
監督:チェン・カイコー
★★★★



内容:中国の巨匠、チェン・カイコー監督による作品。レスリー・チャン主演で1993年に公開されて話題を集めた「さらば、わが愛/覇王別姫」に続き、京劇を描いた作品。中国に実在した最も有名な京劇俳優、梅蘭芳(メイ・ランファン)の一生をレオン・ライ主演で描いた。愛人役には中国ナンバーワン女優となったチャン・ツィイー。日本の軍人役で安藤政信も出演している。

感想:芸能ものは何でも好きな性質なので、京劇にも興味を持っていた。そのきっかけを作ってくれたのは、やはりレスリー・チャン主演の映画「さらば、わが愛」だった。あれから15年、レスリーなきあと、チェン・カイコー監督がレオン・ライを主演に据えて、再び京劇映画を作ったと聞いてさっそく映画館に足を運んだ。新装したばかりの新宿ピカデリーはとてもきれい。上映前に軽食を食べるコーナーも充実。映画館の陰湿な雰囲気がなくてとてもいい。座席もゆったり、広々とした中で映画を見た。映画は梅蘭芳が生きた1894年〜1961年までのうち、子ども時代から晩年までを描く。祖父の代から京劇俳優だった一家だが、早くに親を亡くした梅はかなり苦労したようだ。しかし、18歳でデビューしたのちはすぐにスターダムに乗り、68歳で死去するまで女形を演じ続けた。チャン・ツィイー演じる愛人や、梅の欧米講演などを支援するパトロンの存在も丹念に描き、まさに「伝記映画」となっていたと思う。

 何よりよかったのはレオン・ライが美しい女形になりきっていたことだ。レスリーではないことから、見る前の期待感は薄かったが、大柄のレオン・ライでも、とてもきれいだった。次に、映画内でいくつもの劇中劇、つまり京劇の名場面が見られたことがよかった。あとで京劇研究家、加藤徹氏の著書「梅蘭芳 世界を虜にした男」を読んでわかったが、映画の中でも梅の18番が上演されていた。そして、梅の伝記を読まなくても、映画の中で彼の生涯について大雑把に理解できたことだ。その代わり「さらば、わが愛」に比べて、伝記的要素が強いので、退屈なシーンも多かった。

 加藤氏の著書によると、「中国人とは何か。何を考え、どんな長所や弱点を持っている人々なのか。梅蘭芳の生涯を追うと、それが手に取るようにわかる」と書いてあったが、その通りだと感じた。しかし、それにしても、時流の変化をうまく読み取り、あの激動の文革時代にも糾弾されず、京劇の道一筋に人生をまっとうすることができた、非常に幸運な人だと思う。映画と本を読んだので、その流れで、先日北京で「梅蘭芳記念館」にまで出かけてしまった。彼が住んでいたという小さな四合院で、中庭にはきれいなスミレが咲いていた。記念館で買っていたDVD「覇王別姫」を近いうちに見たいと思う。(09年4月13日、文:中島 恵)


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