ジャーナリスト Kei Nakajima

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2009年8月28日(金)

『月下の侵略者―文禄・慶長の役と耳塚』
ドキュメンタリー映画
監督:前田憲二
★ ★★★



内容:豊臣秀吉の朝鮮出兵「文禄・慶長の役」をテーマにして、日韓中の各地でロケを行ったドキュメンタリー映画。全編を7章に分けて、時系列的に追っている。秀吉の生い立ち、朝鮮侵略前期、平壌での攻防、女たちの戦い、秀吉の栄耀栄華、鼻切り、耳切りの実態、日本に連れてこられた人々のその後、などを描いている。長年に渡って日本と朝鮮半島の文化的歴史的つながりを映像で追求してきた前田監督の力作。

感想:2時間45分に及ぶドキュメンタリー映画ということで、覚悟して臨んだが、ほとんど眠たくなることもなく興味を持って見続けることができた。全体的に秀吉が朝鮮でいかに悪事を働いたか、といったトーンで綴られていたが、そういった視点を除いても、私自身は日本の戦国時代の歴史すらよく知らないので非常に勉強になった。日本では織田信長、豊臣秀吉、徳川家康をめぐる戦国時代の国取り合戦がメーンで、秀吉の朝鮮出兵について歴史の教科書にも詳しく記されていない。「文禄・慶長の役」についてもかろうじてその名前は知っているが、なぜ朝鮮に出兵しようとしたのか、朝鮮でどんなことをしたのか、どの地域まで進出したのか、までは知られていない。映画を見て、そうしたことをくわしく知ることができた。そして、オールロケの映画なので、出兵した先である韓国各地、日本の京都、佐賀、中国(明)にゆかりのある土地なども映像で見ることができたのはよかった。奇しくも、私が3月に訪れた中国・延辺朝鮮族自治州も加藤清正が兵を出した地域だとわかった。

 今回ひとつのテーマとして取り上げられているのが「耳塚」の存在だ。秀吉は兵士の首ではなく耳や鼻をそいで持って来させた。その耳や鼻を葬ったのが「耳塚」だ。京都や福岡などにあるという。映画の終盤は、日本に連れてこられた人々、とくに陶芸に従事する人々のことを取り上げていることが興味深かった。私は以前、有田焼で有名な佐賀で、李参平氏(14代目)に取材したことがあるからだ。朝鮮出兵は「やきもの戦争」という一面もあったようだが、今、九州各地に残る焼き物を見て、どれだけの日本人がこの戦争のことに思いを馳せられるだろうか。そんなことも感じた。


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