ジャーナリスト Kei Nakajima

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特筆記事

その10
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韓国の美しい手仕事、ポジャギ

 2002年の日韓共催ワールドカップサッカーや韓国ドラマブームなどから、韓国に興味を持つ人が急速に増えてきた。とくに韓国ドラマ「冬のソナタ」の主役、ペ・ヨンジュン人気で、韓国旅行客は女性を中心に拡大している。そんななか、韓国の伝統的な手芸、ポジャギも密かなブームとなっている。手芸雑誌などでも取り上げられ、注目されるようになったので、ここで紹介したい。
ポジャギとは李氏朝鮮時代に生まれたもので、韓国語で「モノを包んだり、食膳の食器類を覆うときに使う布」のことをいう。韓国では誰でも使用することができる生活用品のひとつで、母から娘へと受け継がれてきた縫い物だ。だが、最近ではポジャギを縫うことができる女性が減少しており、家庭内でポジャギを縫う女性は少ない。韓国人であっても、おみやげもの店でしか目にしないという人もいるほどだ。李氏朝鮮時代、女性たちは家族以外のものに姿を見られてはならないとされ、家に閉じこもって生活をしていた。その間、女性たちが部屋にこもってはぎれを継ぎ足して針仕事にいそしんでいたといわれている。

 ポジャギ作家で東京にアトリエを持つチェ・ヤンソクさんによると、「古い文献によると、『袱(ポク)』がモノを包む布、風呂敷、袱紗という意味で、発音が『福(ポク)』と同じなので、福を招くといわれ、モノを包んで、家屋に吊しておくと福を招くと信じられている」というものだ。ポジャギを漢字で表記すると「褓子器」と書き、略して「褓(ポ)」とも呼ぶという。簡単にいうと、韓国の伝統的な覆い布、といえるだろう。韓国でポジャギは住居の中で使用しないふとんや家財道具を包むために使われていた。使うときには大きく広げ、使わないときには小さく畳むことができるので、日本の風呂敷のような役割がある。風呂敷と大きく違う点は、四隅に包むためのひもが長くつけられていること。また、1枚布ではなく、はぎれを集めてつなぎ合わせるのがポジャギの特徴だ。現在では、どのような布と布をつなぎ合わせるかで、デザインが変わり、個性が出るという魅力がある。

 昔から韓国ではポジャギを見れば、その家の階級がわかる、といわれてきた。ポジャギは使用する階層によって大きく「宮褓(クンポ)」と「民褓(ミンポ)」とに分けられていた。宮褓は貴族が宮中で物品の保管のために使われるもので、素材は絹。色は紅色系を多く用いていた。民褓は一般の人々が使うもので、チョマ、綿、麻、紗、紙などの素材を使う。構造は1枚仕立てと2枚仕立てがあり、中に綿をつめたものもある。チョマ(苧麻)は日本語で「からむし」。小千谷縮や越後上布がこの「からむし」で、夏の最高級着物として使用されていた。韓国では韓山が産地で無形文化財となっている。韓国の「からむし」は野生種だが、日本のものは改良種で、紫蘇に似た植物だそうだ。
日本にもはぎれを集めて縫うという「百接ぎ」などの針仕事はあった。また、日本の「刺し子」はポジャギの「ヌビポ」に相当する。日韓で手法や意味合いは少しづつ異なるものの、女性たちの間で長く親しまれてきた伝統的な手芸という点では変わりがない。伝統の形がありながら、自由に創造することもできるポジャギ。日本の女性たちにもその魅力は伝わりつつある。

(文・写真/中島恵)
※写真のポジャギは中島恵制作


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