ジャーナリスト Kei Nakajima

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特筆記事

その18
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6年で2倍 ウォン高を追い風に韓国人観光客が急増

旧正月(2月18日)の前日、ちょうど取材を終えて私はソウルから東京に帰るところだった。出国ラッシュの混雑を予想し、早めにソウル・仁川空港に到着したところ、日本便はどれも、これまでにソウルで見たことがないほどの長蛇の列ができていた。搭乗すると、なんと乗客の9割が韓国人観光客のようだった。そのときは「旧正月休みのせいだろう」と思っていたが、調べてみるとここ数年、来日する韓国人観光客数が急速に増加していることがわかった。

 国際観光振興機構の調べによると、2006年の訪日韓国人数は212万人で2000年に比べて2倍に達しているという。訪日韓国人数が増加している原因はいくつかある。第一に愛知万博の際に一時的に免除されていた韓国人の短期滞在ビザが06年3月になって正式に免除されたこと。第二に韓国人の余暇が増えていること、第三にウォン高で日本旅行がしやすくなっていることだ。04年に100ウォンは約9円だった為替レートが、今年2月には約13円になっていた。

 日本人からすると、以前は100ウォン=10円とゼロをひとつ取って簡単に計算できるためわかりやすく、物価は安く感じた。それが現在は様変わりしている。逆に韓国から日本に旅行する人にとってウォン高は追い風になっている。また、データには現れにくいが、韓国も中国と同様、貧富の差が激しい。お金に余裕のある富裕層は日本でのゴルフや温泉、高級グルメを今まで以上に楽しみたいと考えているようだ。

 こうした動きを受けて、韓国人観光客の誘致に躍起になっているのが地方自治体や地方空港だ。九州各県は距離的に近いこともあり、もともと韓国からの観光客が多かった。しかし、最近力を入れているのが東北や北海道など、これまで韓国とあまり縁のなかった地域だ。福島空港では05年に入国外国人のうち、韓国人がダントツで多かった。その多くが「韓国でプレーするよりも安い」といわれるゴルフ場に向かっているという情報もある。韓流が去ったと思ったらいつの間にか始まっていた韓国人の日本詣で。日本各地の韓国人観光客獲得合戦がどう展開していくか、これからおもしろくなりそうだ。

(2007年5月号「マガジンアルク」より、
筆者記事の一部を抜粋して転載)


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