ジャーナリスト Kei Nakajima

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特筆記事

その2
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深せんの日系中小企業団地、テクノセンターのインターンシップ活動

 香港から深せんへの“国境”を抜けて車で約1時間の距離に「テクノセンター(日技城)」という日系の中小企業向け工業団地がある。香港在住の日本人起業家たちが集まって「日本でやっていけなくなった中小企業を救済しよう」と設立したもので、今では香港の日系企業の間で知らない人はいないほど有名になった。現在入居している企業は40数社。日本では零細企業で先行きが暗かったが、中国に進出して新しい顧客を掴んだ企業たちだ。ここには意気揚揚と仕事をしているビジネスマンやエンジニアがたくさんいる。年間の訪問者数が3000人という年もあったほどで、中小企業にとってテクノセンターは「中国ビジネスの理想モデル」となっている。テクノセンターの手法は広東型委託加工の成功例として、これまで数多くのマスコミで取り上げられてきたが、訪れてみると、本当に「世界の工場」の原動力となっているような場所だ。

 ユニークなのは中小企業の集合体にも関わらず、日本の大学から多数のインターシップを無料で受け入れていること。一橋大学、慶応大学、関西大学などから毎年夏休みになるとインターンシップ生が数十名訪れ、ワーカーと一緒に製造ラインに並んで部品を作ったり、周辺の企業訪問をして現地の状況を学んでいる。もちろん宿泊先はワーカーと同じ大部屋の寮。学生の中には銀行への内定が決まっていたが、製造業の現実を知ってカルチャーショックを受け、内定を取り止めてしまった人もいるという。同年代の若者が工場の中で目をサラのようにして部品を作り、ベッドひとつしかない狭い寮で肩を寄せあって暮らし、故郷に仕送りする姿を見て考え方が180 度変化する学生もいるそうだ。

 日本では「13歳のハロ ーワーク」がベストセラーに なったり、大学が「就業体験」のカリキュラムを取り入れるなどの新しい動きがあるが、中国で必死で働く若者にそんな「お手本」はない。額に汗してただ必死で仕事をするだけだ。そんな同年代の若者を見るだけで、私たち大人もおおいに刺激を受ける。日本の若者にとって不幸なこと、それはあまりにも豊かすぎて「仕事をする」というリアリティが持てないことかもしれない。

(文・写真 中島恵)


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