ジャーナリスト Kei Nakajima

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特筆記事

その3
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永遠の歌姫、テレサ・テンのお墓へ

 数年前のことになるが、テレサ・テンのお墓にいくチャンスがあった。台湾北部の海辺に近い金山という場所にある。台北から車で約1時間半ほどの距離にある墓園は、政財界の重鎮や商売で財をなした経営者などが眠る場所として有名で、どのお墓も“豪邸”と呼ぶのにふさわしいスケールを誇っている。その中でも「一等地」にあるのがテレサのお墓だ(写真:上)。手前には巨大なピアノの鍵盤があり、その奥にお墓がある。周囲には美しい花が植えられていて、近づくとどこからともなくテレサの歌が流れてくる。木陰にステレオが設置されていて、人が足を踏み入れると自動的に音楽が流れるような仕組みになっているのだ。日本語の歌も流れ、一瞬にしてあたりは「テレサ・テンワールド」になる。

 お墓には小さな花束が添えられていた。私が訪れた日は平日で、あいにく小雨が降っていたが、それでも日本人の男性観光客らしき人が4、5人きていた。毎年5月8日の命日になると、テレサを偲んで台湾だけでなく、日本、香港、シンガポールからもお墓参りの人が大勢やってくるという。私はテレサが香港滞在中に住んでいたという香港島の住居(写真:中、下)にも行ったことがある。スタンレー・マーケットに程近い海の見える高台にあった。期間限定で住居内部が公開されていて、テレサが使っていた食器や、愛用していた日本語やフランス語の辞書、舞台衣裳、写真などが展示されていた。晩年はピンク色を幸運の色だと信じて、部屋のあちこちがピンクで統一されていたと聞いたことがあるが、香港の住まいは意外にも日本風の雑貨や小物が多く置かれていて、テレサと日本との結びつきを強く感じた。

 2004年、生きていればテレサは生誕50歳を迎える。日本ではいまだに美空ひばり、石原裕次郎と並んでカラオケやベストアルバムの売り上げでは絶大な人気を誇るテレサだが、女性としての平凡な幸せはつかめなかった。テレサのあまりにも早すぎた死を惜しみ、透明感のあるすばらしい歌声を懐かしむ人々は今も世界中にいる。

(文・写真 中島 恵 )
注釈:衣装写真は香港政府観光局提供


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