ジャーナリスト Kei Nakajima

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特筆記事

その5
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中高年女性がはまる韓国ドラマ

 韓国のエンターテイメントが日本でメジャーになったのは99年公開の映画「シュリ」だろう。韓国の情報員と北朝鮮の女性工作員との悲恋が描かれている傑作だ。この映画を皮切りに、韓国の映画、音楽、ドラマが日本を始め、アジアで大ブームを巻きおこしている。日本で最近大ヒットを飛ばしたのはNHK・BSで放送された連続ドラマ「冬のソナタ」だ。主人公のチュンサンとユジンを軸にして、男女の純粋な恋愛、韓国の儒教社会、美しい風景が見事に描かれていて、見る人の心を打つ。とくに中高年の女性からは「若い頃を思い出した」、「韓国の景色がステキ」という声が聞かれた。

 こうした現象は日本に限ったことではない。今、韓国のドラマや映画にはまることを「韓流」と呼び、アジア全域に広がっている。最初に「韓流」が生まれたのは中国。中国では「韓流」という言葉が定着している。それが香港、台湾へと広がり、ついに2003年の「冬のソナタ」で日本にも上陸した。知り合いのある女性ファンは「百恵ちゃんの『赤いシリーズ』を彷彿とさせる激的な場面の連続。ドラマを見ていてこんなに目が離せなくなったのは初めてよ。それに絵に描いたようなあのすばらしい風景を一度訪れてみたい」と感激していた。

 現に「韓国の風景に感動した」という声は後をたたず、JTB、日本旅行、近畿日本ツーリストなどでは“冬のソナタ・ロケ地巡りツアー”を実施している。韓国ツアーは2万円台からの激安料金が普通だが、このツアーは成田発3泊4日で10〜12万円もする。それでも旅行会社には問い合わせが殺到しているという。ツアーの内容は主人公のチュンサンとユジンが初めてデートした春川(チュンチョン)の並木道、ドラマに使われた高校や竜平(ヨンピョン)リゾートスキー場などで、いわゆる観光地めぐりは一切なしだ。ツアーには雪のない香港や台湾からも観光客が押し寄せているという。

 韓国政府は数年前から国を挙げて文化輸出に力を入れていて、それが見事に結実した。中国や台湾などでは韓国ファンが急増し、韓国語学校に人気が出たり、韓国製の家電製品も売り上げを伸ばしているというからすごい。韓国ブームはまだまだ続きそうだ。

(文・中島恵)


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