その1
日本に押し寄せる中国人観光客のお目当ては?
日本の観光業界にとって“救世主”となりつつあるのが中国からの観光客だ。その数、今や年間で1600万人というからすごい。日本人の海外旅行がさかんになったのは昭和50年代頃からだが、豊かになった中国でも、かつての日本とまったく同じ現象が起こっている。
中国人に日本の観光ビザが発給されるようになったのは2000年9月とまだ最近のことだ。それまでは商用ビザなどを利用してビジネスの合い間に観光して歩くのが一般的だったため、純粋な観光で日本を訪れる中国人はほとんどいなかった。観光ビザ解禁後は日本各地で積極的に誘致活動が行われている。最も力を入れているのは長崎県など九州と北海道。長崎県では北京の高校から修学旅行生を受け入れている。中国ではひとりっ子政策のため、親たちは教育熱心。日本の高校との交流会を兼ねた海外旅行が注目されている。一方、北海道では雪の降らない香港、台湾からの観光客がもともと多いが、最近は中国本土に向けてPR活動を行っている。2003年から中国のテレビ局と一致協力して「さっぽろ雪まつり」の映像も放映している。
これまでは東京観光でもせいぜい浅草寺や東京タワーを回る程度だったが、最近では「サンリオピューロランド」、「ディズニーランド」、はたまた九州の温泉なんかが人気だという。ピューロランドでは中国語の看板をあちこちにつけて対応し、キティちゃんグッズの販売にも力を入れている。日本政府は現在、海外から観光客を呼び込む「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を実施中。政府は「2010年までに海外からの観光客を現在の2倍の1000万人にしたい」としている。なかでも「最もお金を落とす」中国からの観光客に大きな期待をかけている。
(文・写真 中島恵)
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